日本には「美肌の湯」といわれる温泉がたくさんあり、その多くの泉質はアルカリ性単純温泉です。
アルカリ性単純温泉は、炭酸水素ナトリウム (重曹)や炭酸カリウムなどを含むことが多く、pH8前後のアルカリ性を示します。
アルカリ性の泉質は、皮膚表面(角質)のたんぱく質に対して、身体を洗うときに用いる石けんと同じような働きをします。
せっけんは、角質のたんぱく質と結合し、汚れとともに皮膚からはがします。
アルカリ性泉は、石けん作用によって角質のたんぱく質を湯の中に溶かし出します。
これは小学校や中学校などの理科の実験で用いるニンヒドリンという試薬を使った実験で証明することができます。水道水とアルカリ性泉に腕を漬けて比較してみると、アルカリ性泉では明らかに紫色に変色します。紫色の変色は、たんぱく質がアルカリ性泉のなかにたくさん溶かされていることを示しています。
もう一つ、湯そのものも皮膚から油分を奪い去ります。温水で食器を洗うと食器に付着した油分が落とされるのと同じようにです。
誰しもアルカリ性泉に入浴し、皮膚の表面に触れてみると、つるつるしてなめらかになっていることに気がつくことでしょう。
お風呂から出てしばらくたつと、その効果はさらによく感じ、さらさらした肌になって、肌ざわりがよくなります。
アルカリによる作用と湯の作用で、美人になったようなつるつる感が ″美肌の湯″とか″美人の湯″といわれる元になったと思われます。
一方、アルカリ性泉が皮膚を曹っている角質のたんぱく質を取り去ることは、角質のもつ防御機構をなくすことでもあります。
皮膚はすぐに防御機構を取り戻そうとするために新しい皮膚を作り出し、新陳代謝を促します。この新陳代謝作用も美肌をつくることに貢献していると思われます。
注意しなければならないのは、アルカリ性泉は強すぎると、角質を必要以上に溶かしてしまうことです。皮膚をなめらかに覆っている皮脂も、たんぱく質も取り過ぎてしまうと、肌荒れを起こすからです。
お勧めは、アルカリ性の程度がpH7・5~8・5ぐらいで、強い成分の入っていないアルカリ性単純温泉です。
pH8・5以上の強いアルカリ性泉は、肌荒れの原因にもなることかあります。肌の弱い方は入浴時回を少し短めにするか、浴槽から出た後に水道水(湯)で洗い流すとよいでしょう。
アルカリ性泉に入って、あなたもつるつる美肌を手に入れてみませんか。
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