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堂満岳(北壁)登攀


 

20012月17(土)〜18日(日)

快晴、気温10℃、風なし

 17日 18:45JR大阪駅噴水前に着き、京都への快速電車の時刻表探しながら歩いていると「日野さん」と呼びとめられる。木下さん今庄さんが柱の横で談笑しながらおられる。

皆さん大型のザックを床にデンと置かれている。それに比べ私の38Lのザックは子供用の感じ。

改札の駅員さんに「比良ゆき電車の発車時刻」を尋ねると「毎ゼロ分、それから15分毎」だそうだ。18:55森本さんに伊藤さんも来られたので19:00発に乗車しようとホームへ急ぐ。京都で同じホームの反対側に湖西線(近江今津ゆき)の電車が入線していたのですぐ乗り換えたら、すぐドアが締まり発車のベル。キオスクでビールを買っていて伊藤さんが乗り遅れた。これが彼にとって不運の始まりで、次に比良駅を居眠りで乗り越してしまうという不運が重なる。(いつものことなのか)

20:09比良駅の改札を出ると、中川さんと内田さんが既にお待ちかねでした。

 イン谷口にある駐車場テン場まで重たい荷をものともせず足取りも軽い皆さんに比べ一番軽いザックも私の肩には重量過多で足腰もギクシャクして歩が進まない。小さいザックに入りきらない防寒具を全て身につけていたので10分も歩けば汗びっしょり。立ち止まり一枚脱ぎ、皆に相当おくれてまた歩き出す。志賀まで開通している湖西有料道路延伸工事中の比良ICあたりでまたまた大汗で休憩し、ここでアンダーシャツ一枚になりテン場へと黙々と歩く。

 見上げる大空には冬の星座であるオリオンが南天に光り、その横には一等星3個で冬の大三角形、北には北極星と北斗七星が輝き、星々の不変の命を感じる。

 既にテン場で6テンを設営してお待ちになる生信さん、いつもありがとうがざいます。後着の私達ももう一つの6テンを張り、9人はテントの中に入る。ガスコンロで煮る鍋料理と血気盛んな人達の熱気でムンムンのテントの中だ。持ち寄った材料を鍋に手際良く投げ込む、中川、森本、今庄奥様の面々はいつもYMCCの料理長だ。内田さん持参の上野霜ふり肉は絶品のシャブシャブ。

 料理に酒に話に歌にと夜遅くまで延々と続くのがおきまりであるのだが、私はいつも先にシュラフにもぐり込むのでした。

 自宅ではフトンに入れば3分以内で寝入るのだが、テントの中では寝つきが悪い。寒いとダメなのだ、笑わないで下さい。暖マットにエアマットの上で、300g羽毛入りのシュラフにシュラフカバーをして、おまけに足元に2個のホッカイロをほうり込み、綿の靴下と羊毛の靴下をはき、ウールのズボンの下にアンダーパンツ、その上にゴアの防寒ズボン、上半身はアンダーシャツにフリースのシャツ、まだその上にダウンのジャケットを着て汗をかいて寝た。

 明け方気温が下がると、この汗が反対に身体を冷やし、寒くて頭までシュラフにもぐり込む。ホッカイロも冷たくなって足が冷えるとガタガタ震えて、右へ左へと寝返りを打つ。寝不足だあ!!

18日 朝食には具沢山のウドンを「私は食べる人」となりいただく、ごちそうさまでした。今日は雪崩研究組(中川、木下、今庄夫妻)と堂満岳北壁組(森本、日野、伊藤、内田)と早帰り(生信)に別れての行動となる。

堂満岳北壁組

 08:20出発。冬季雪稜を初めて挑む私はビーコンを持っていない。雪崩れないといわれる堂満岳ではあるがしかし万一の為に、今庄さんから新型ビーコンをお借りして装着する。私の小さいエンジンは始動が悪くて足が重たい。それに今朝はすぐ左膝がギシギシ不調を訴え、大山口付近でもうリタイアかなとの思いが頭をかすめる。積雪は1mくらいで登山者に踏み固められた5〜60cm幅のウネウネと続く道、静かな白銀の世界、ザクザクと踏みしめる心地よい靴音は目、耳を楽しませる反面少しずつ傾斜が増してくると私を苦しめる。

 09:20 3ルンゼ堰堤でアイゼン装着などラッセルの用意を整える。先ず深い雪の斜面に飛び込んだのは森本さんだ。伊藤さん、内田さんが後に続く。私は4番手、でも積雪は深くズボ、ブス、スポッと踏み抜ける。ラッセルに疲れて雪の中へ倒れこんだ森本さんの後を受けて伊藤さん内田さんが交替で先頭を進む。風もなく良く晴れた青空に高気温で、内田さんの額にも汗が光る。

 しばらく進んだ所で、後続してきた滋賀労山の5人組パーティに先行ラッセルを替わり、その後へ続く。

 10:10 北壁の岩稜クライミング取りつき点に到着した。森本ー日野と伊藤―内田の2組に別れ、ザイルを着ける。

1P  岩に積んだ雪を取り除きホールドを見つけるや、スルスルと難なく攀じられた森本さんから「ビレイ解除」の声がかかる。確保を解除するとロープが引き上げられる。「ロープいっぱい」と返事を返す。「登って下さい」との声がかかると、さあ私の登る番だ。「登ります」と声をかけ、羊毛の手袋の上にオーバー手袋をつけた右手にピッケルを持ち岩に取りつこうとする。右足のアイゼンの先端部の爪を50cmくらいの所に掛け、最初のホールドを左手にしようとして岩に触れるも、雪とその下に岩に張りついた氷で滑ってつかめない。素手とはえらい違いだ。右手でホールドを持とうとしても長いピッケルを持っているのでこれが邪魔で上手くゆかない。どうしよう、どうしようかとオロオロしている私を後の人達は見ているはずなのに何の声もアドバイスもかからない。

しばらくあれこれやった後で「そうだピッケルを使えばいいのだ」と気が付き、右手で持ったピッケルの先を岩に打ちこみ引き上がることが出来た。雪山を登った経験のないのでピッケルは雪に突き刺すものと思っていた。取りつきを越すと傾斜もゆるく割と楽に進めた。

2P  まばらに小木の穂先が出ている雪尾根を登り、抜ける手前の岩壁を越さなければならない。アイゼンの爪で立ち上がる時は力が入りにくく両足がつま先で左手のホールドも小さく、右手のピッケルも岩の裂け目に引っかからない。落ちそうになり「ザイルアップ」と叫ぶ。ロープが引かれたので思いきってグイッと攀じる。確保点に着いた時すぐ前の岩を「先に超えてみますか」と森本さんに言われたので前の岩を登るが、そこで見たものは深く切れこんだ先に5mくらいの垂壁ナイフリッジに雪が張りついている。「こんなところ行けません」と戻る。

3P  経験豊富な森本さんは(私には剥がれて落ちそうに見える雪)ものともせずステップを切ってスイスイと登って行かれるが、私はいつ崩れるかとヒヤヒヤしながら登る。

ピッチ終わって振り返れば、琵琶湖や山の斜面に白い雪が美しい。

4P  正面の切り立った岩を左へトラバース、ルンゼ状の右側で雪の少ない部分にピッケルを打ちこみ滑りながら登る。一箇所も支点が取れないのでピッチの中ほどにハーケンを一本打ちこみ残置した。

5P  急斜面に雪がべったり付いている。柔らかい雪は踏みこんでも崩れて足場がなかなか作れない。ほとんど雪を下に落としてしまう迄踏みこみ登る。ピッケルを岩に引っ掛けたり、雪に打ちこんだり、立ち木に引っ掛けたり長いピッケルは非常に役にたってくれた。

6、7P  立ち木がまばらにある雪の斜面を登り終了点に達した。  3ルンゼを下降のため終了点からしばらく上部へ登るもルンゼの入口が見つからず、終了点まで引き返した。そこから3ピッチ懸垂を繰り返し3ルンゼに下り、ここでロープをザックにしまい、テン場へ急いだ。

 初めての雪の岩稜を登らせていただきましが、好天にもめぐまれ満足感いっぱいの山行であった。

 
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